作詞 西川 大貴
作曲 桑原 あい
「雨が止まない世界なら」
ソングサイクル・ミュージカル
【M1】 今日も窓が濡れる
雨、雨、雨…
雨…
雨はどんな色だった?
雨はどんな匂いだった?
今はもう思い出せない
昔の話 雨は雨 今はただ 雨は雨
巻き戻してみる
切なくて 哀しくて
冷たい雨だって
それに浸って酔えば
まるでそうクラゲみたいに
青 紫 紫陽花に零れる一雫
子供達飛び越える 薄い水溜り
着飾り歩く こうもり傘の群れ
遠くの誰かが 架けたような虹
気まぐれ 夕立 耳につく雨垂れ
急な雨宿り 喫茶店 モンブランの味も
今はもう思い出せない
昔の話 雨は雨 今はただ 雨は雨
「雨がずっと止まなかったら?」
昔の自分はきっと信じない
1日目 何も思わなかった
2日目 何も思わなかった
たとえそれがおかしな雨だったとしても
3日目 何も思わなかった
4日目 洗濯物で困った
5日目 身体が重かった
6日目 眠かった
1週間続いても
日々やり過ごすのに必死で
植物は育ち 枯れた
ameが溢れ 街は止まった 変わった
「雨がずっと止まなかったら?」
昔の自分はきっと信じない
ある日 数えるのをやめた
いつかは晴れる みんなで祈ろう
僕も 私も 僕も 私も
今日も窓が濡れる
雨…
雨…
雨…
雨…
【M2】 きつねぇさん
国道沿いのベンチ
うつむく君をみた時
なぜか僕は声をかけることが出来た
「傘入りませんか?」と
そんな事 いつもの僕なら
出来るはずもないのに
去り際 手には君の番号握ってた
化かされた気分だった
大人になったら結婚するのよ
都市伝説か 昔の言い伝え
些細なことも 将来のことも
何かと理由をつけて
ここまで来てしまった僕だけど
降ってきた 事故のような出会いが
雨、雨、雨…
明くる日からameは やまない
僕らの間に落ち続ける
数分間の散歩を 想い眠るよ
晴れた日 きっと 街のイタリアンで
ああ洗い流さないで
君の顔 声や温度 香りも
テレビ電話も気軽に出来ない
何も知らない 脆い僕らだから
朝食はパン?ご飯?
食後はコーヒー or ティー?
趣味の話も きっと今度
ああ洗い流さないで
君の顔 どうして思い出せない
フォルダに1枚も君がいない
何も知らない 脆い僕らだから
朝食はパン?ご飯?
食後はコーヒー or ティー?
涙のわけも きっといつか
君は僕の希望さ…
大人になったら結婚するのよ
都市伝説か 昔の言い伝え
些細なことも 将来のことも
何かと理由をつけて…
「きっと狐に化かされたんだ」
【M3】 雨蛙の主張
ゲロゲーロ ゲロゲーロ
我らは雨蛙
雨よ止むな 雨よ止むな
降ってるうちは我らの天下
嗄れた壊れたガラガラ声も
毎日歌えば美声に変わる
鼻にかかった金切声も
歌い続けりゃまるで歌姫
それじゃあひとつご披露しましょう
(♪♪)
あんたにこんなの歌えるかい?
(♪♪)
早く一緒に歌いたいな
雨が止んだら会いに来てくれるかな
ゲロゲーロ
あいつら一体どこいった
爪が鋭い ボンクラも
舌の長い トンチキも
ビビっちまって 出てこない
雨に紛れて もっと縄張り広げて
晴れたら みんな腰抜かす
降ってるうちは我らの天下
邪魔だ失せろと邪険にされて
うるさい 見た目が気持ち悪いと
生きづらい世になったもんだ
だいぶしばらく会ってない
ちびっこたちは元気かな?
ガキ大将のゴンタどん
オテンバ娘のちぃちゃん も
短パン小僧のひょろすけ や
かけっこ大好き さだちゃん も
全然会いに来てくれない
一緒に遊んでくれやしない
それじゃあひとつご披露しましょう
(♪♪)
あんたにこんなの歌えるかい?
(♪♪)
まだまだこんなのお茶の子さいさい
(♪♪)
こんなのどう?
(♪♪)
もひとつどうだ
(♪♪)
早く一緒に歌いたいな
雨が止んだら会いに来てくれるかな
ゲロゲーロ ゲロゲーロ
我らは雨蛙
雨よ止むな 雨よ止むな
降ってるうちは我らの天下
うー ゲロッパ
【M4】 逃げのびるだけでいいだろう
世界が終わるような 途方も無い不安
曇り空のせいなのか 星も全く見えない
自分を分かって欲しい 分かって欲しくなんかない
テレパシーを信じよう 回れ 光れ この地球
真正面にひとつ強く輝く星が
僕の全てを託す そんな思いが 浮かぶ 巡る
今日で僕が終わっても きっと君は光り続ける
今日で世界が終わっても きっと君は光り続ける
だから君にすべてを託すよ
すべてが暗黒に 染まり消えてしまう前に
君を焼き付けておこう 何か 何かが 欲しかった
星が逃げる 星が逃げる
よく見りゃufoか 馬鹿言え 飛行機はゆく
笑えてきちゃったな
今日で僕が終わっても きっと君は光り続ける
今日で世界が終わっても きっと君は光り続ける
手招く君が揺れているよ
今日で僕が終わっても きっと君は光り続ける
今日で世界が終わっても きっと君は光り続ける
だから君にすべてを託すよ
今日はもうすぐ終わる きっと明日が訪れるだろう
酒という通行チケットで 逃げのびるだけでいいだろう?
逃げのびることに意味があるだろう?
【M5】 海に潜ったクジラ
雨、雨、雨…
雨…
その昔クジラは
陸に住んでた
この前 本で読んだ
びっくりした
それにクジラの仲間は
カバなんだってさ
陸に残ったのがカバ
海に潜ったのがクジラ
これだけ雨が続いたら
また進化が起きないかな
足の生えた魚
翼生えた馬
どうしてみんな怖がるの?
どうしてみんな嫌がるの?
私はワクワクするけどな
変わっていく世界 新しい世界 進化する世界を
この目で見てみたい
わたしの背中に
翼が生えたなら
この窓を開け放って
隣町まで会いにいく
これだけ雨が続いたら
また進化が起きないかな
雨が好きなネコ
ずっと眠ってるイヌ
翼生えたわたし
どうしてみんな怖がるの?
どうしてみんな嫌がるの?
私はワクワクするけどな
変わっていく世界 新しい世界 進化する世界を
この目で見てみたい 今 窓をあけて いこう…!
この目で見てみたい…
【M6】 知ろうとしない
ほら 画面から目をそらさずに
映画の1シーンみたい
ニュースが毎日流れてる
おかしなameが止まない
有り得ない事 未解決事件
当たり前の事 なんかじゃない
5年前から「ずっとそう」みたいな顔
目の前の陸が海に侵され続けてるのに
「生きていくため」 合言葉にして
見ないふりして 気付かないふりして
知らない 知らない 誰も知らない
誰も知らないのに 知ろうとしない
学ばない 学ばない 人は学ばない
痛い目みたとしても
君はまた私を嘲笑って
ただ待っているだけか
知らない 知らない 誰も知らない
誰も知らないのに 知ろうとしない
学ばない 学ばない 人は学ばない
痛い目みたとしても
知らない 知らない 誰も知らない
誰も知らないのに 知ろうとしない
忘れたい 忘れたい 自分は関係ない
傷は疼いていても
学ばない 情けない それでもどうして 人は美しい
【M7】 正気を気取った狂人
開戦当日の 最後の晩餐に
そう クラムチャウダー
なめらかに揺れてた
少ししてから
ヨーイドンの合図 打ち鳴らされた
少年の眠った右耳に響く
若い男と女が
時に冷静ぶったり 机をぶったりして
一定の距離を 保っている風に
稚拙な台詞を 並べ立てている
ギィ という音を立てずに
ドアを開けて 左目を入れ
彼は見てしまった!
不毛な醜い古典芝居
フォーク!フォーク!続けてフォーク!
スプーンを挟んでナイフが舞った
壁のダーツ盤を貫いて 「ブル!!」
再び寝床の少年
窓を叩く雨は強くなったが
それを知るのは彼だけ
聴きながら 爪の先で削る
ザラついた壁を「無意味」に
それが「意味を持つ」とは
大きな子供たちは知らない
「あの子が起きたらどうするの!」
急に冷静な素振り …笑えるうううううう
激昂しながら 冷静人のモノマネ
激昂しながら 冷静人のモノマネ
正気を気取った狂人ども 地球から出てけ
正気を気取った狂人ども
スープカップにスプーンが沈む
水面が細かく揺れている
正気を気取った狂人ども 地球から出てけ!
【M8】 今ならきっと
「いつ家族に会った?」
「ちゃんと親に電話してる?」
友人らのこのトークテーマを
レモネードで流し込む
そうですはいそうです私が
家出少女の成れの果て
こっちへ話が転がりそうね
お花摘み行ってまいります
恥ずかしがらず全部曝け出して
変な意地張らずぶつかり合えてたなら
すれ違ってすれ違って違ってばかり
ドライヤーのコードみたい
もうほどき方がわからないんだ
ようやく席に戻ると
レモネードは水になってた
「ねぇ実家帰らないの?」
長いねホットな話題だもんね
なんとなく同情されるのは耐えられない
じゃ 帰ってひとりで野菜を刻もう
じゃがいもニンジン玉葱に 涙
思い出すだけで苦い味する顔が
ずっと頭の中巡ってる
とても離れてるけど
親孝行なんて なにも出来てないけど
同じ雨の下にいるから
なんだか勝手に少しだけ
前よりほんの少しだけ
分かり合えてたりしないかな
…そちらお加減いかがですか
カレーライスは無意識に
あなたの味になってます
福神漬け無し らっきょ有り
食べ終わったらあなたに電話を
きっと
きっと 今なら
きっとまだ 繋がってるはず
きっと あなたと…
きっとまだ
【M9】 We're Singin' in the Rain
I'm singin' in the rain
雨に唄えば
沈んだ気持ちの時だって
心が軽くなる
そんな気なくても
訳もなく笑えてきちゃう
唄おう さあ一緒に
I'm dancin' with the rain
雨と踊れば
慌てなくても君のペースで
世界は逃げないよ
ずっと待ってるから
理由なんていらないだろう
踊ろう さあ一緒に
We're singin' in the rain
なにも怖くない
強がるのは 恥ずかしくない
頭空っぽにして
弱い者同士じゃないか
理由なんていらないだろう
踊ろう さあ一緒に
We're singin' in the rain !!!
We're singin' in the rain !!!
We're dancin' and singin' in the rain …
【M10】 Blue Blue Earth
青い星の住人
我々 似た者同士なのに
どうしてこうまで脆く愚かなのか
青い星の住人
当たり前の毎日に疲れ
ものに溢れた世界が嫌だと憂う
青い星の住人
ひとりの世界に閉じこもり
小さな何かを守ろうと必死で
感謝の心忘れた
生まれた時は違ったはず
裸の心曝け出して
心と心で繋がれたはず
狭い世界に閉じこもらないで
もっと声が聞けたなら
我々の声も届くはず
雨よ降れ もっと とめどなく
世界よ 一度壊れてしまえ
目覚めろ 哀れな人間よ
学ばない 学ばない
学ばない 学ばない
それでも学ばないのかい?
Blue Blue Earth…
Blue Blue Earth…
青い星の住人
ひとりの世界に閉じこもり
小さな何かを守ろうと必死で
感謝の心忘れた
生まれた時は違ったはず
素直に笑い 素直に泣いて
心と心で繋がれたはず
その舟には何が詰まってる?
世界が一つになれたなら
我々の声も届くはず
雨よ降れ もっと とめどなく
世界よ 一度壊れてしまえ
目覚めろ 哀れな人間よ
学ばない 学ばない
学ばない 学ばない
それでも学ばないのかい?
Blue Blue Earth…
Blue Blue Earth…
Blue Blue Earth…
Blue Blue Earth…
帰れるのに 共に広い世界へ
Blue Blue Earth…
Blue Blue Earth…
【M11】 東京漂流
かっこいいあの子が羨ましいけど
私は…
時代は確かに変わった
進んだか戻ったかわからないけど
景色風景は別の世界
怖いくらい変わっちゃった
そんな「今」を肩で風切って
声あげるあの子はかっこいい
時代の波乗りこなして…
同級生なのに何かごめん
世界変える事に喜び感じて
生き生きしてるあなた見ると
何だか申し訳なくなるの
何も考えてない訳じゃないんだけど…
もう進みたくも変わりたくもないの本音は
変わってしまう事が多すぎて
アップデート機能は結構です
私は私のままじゃダメですか
時代は確かに変わってる
でも感じない人たちがいるから
声をあげなくちゃダメ
気付いてもらえないから
だけど傷付け合いたくないよ
みんなどこも絆創膏まみれ
だから声あげなきゃダメだよね
でもそんなに怒らないで
私なりに笑い方も話し方も
怒られ方も媚の売り方も
必死に学んできたことなんだ
私は私のままじゃダメですか
もう進みたくも変わりたくもないの本音は
変わってしまう事が多すぎて
アップデート機能は結構です
私は私のままじゃダメですか
かっこいいあの子がこの世に居るなら
漂う私を許して
【M13】 海に潜ったクジラ(リプライズ)
【M14】 空に飛ばす手紙
これだけ雨が続いたら
また進化が起きないかな
足の生えた魚
翼生えた馬
わたしの背中に
翼が生えたなら
この窓を開け放って
隣町まで会いにいく
変わっていく世界 新しい世界
進化する世界を
この目で見たかった
拝啓 怪盗ルパン様
お元気じゃないですよね
初めて手紙を書きます
わたしの事知らなかったでしょ
あなたに会いたいけど 会えないみたいです
翼持ってないから 空は飛べないみたい
誰か運んでくれたら 元気付けてあげるけど
今日も病院のベッドです
雨が降っています
どうかどうか自分を 見捨てないでください
わたしも見捨てません 夢を見続けていたいです
ちょっとパワーが必要なら 分けてあげたいけど
今日も病院のベッドです
雨が降っています
頑張らなくていいから
生きててほしいです
あなたを想って
手紙を書いています
SNSは便利ですね
手紙を空に飛ばします
初めて手紙を書きました
わたしの事知らなかったでしょ
どうかあなたに届きますように
ひそかなファンより
【M15】 きっとまだ
ロックダウンの夜
降り続くスコール
サイレンが響く
虚無
夜明けまで手遊びをした
ふたりの 心と身体が通わない
部屋に隠れたがった 遠いあの日
息苦しいのはなぜ
ふたりのいつもの曲
もうしばらくきいてない
いつからだろう
仕事と結婚にかき消され
車を見つけて
高速を走ろうよ
流そう ふたりの曲さ
まださよならはいいたくない
I love you
マスクが手に入らないから
苛立ちの種は育つ
初めての口喧嘩で喜んだ
今や日常に紛れて
君のその桜色の頬を
指の背でなぞれば
僕ら 無言の合言葉
覚えているだろう
僕は覚えている
車を見つけて
高速を走ろうよ
聴こうよ 僕らの曲さ
まださよならはいいたくない
I love you
きっとまだ好きなはず
きっと ふたりは… 僕らは…
きっとまだ好きなはず
きっと 僕らは… ふたりは… 僕らは…
【M16】 舟を漕ごう
俺の仕事は水の上
水上タクシーの運転手
すこし前まで世界に無かった
変な仕事だと思うかい
泣いたり喚く暇もなく
感情無視して働く
当たり前に舟磨きながら
「なにしてるんだ」とふと思う
ずっと続けた仕事も
文句言い続けてきたけど
たまに夜中 たまらなくなるのは
好きだったからかも知れない
自分のために生きてるなら
満足な人生じゃないでしょう
でも誰かを守るためならば
今日も舟を漕ごう
進んで舟を漕ごう
なんとも困ったもんだよな
先が見えないのは怖いよな
夢なら醒めてほしいよな
子供じゃないから泣けやしないな
立派な大人のふりをして
みんなタクシー乗り込んで
職場に向かう 俺が運ぶ
一緒に泣こう わんわんわんわんわーん
自分のために生きてるなら
満足な人生じゃないでしょう
でも誰かを守るためならば
今日も舟を漕ごう
進んで舟を漕ごう
【M17】 世界は変わってない
雨、雨、雨…
雨…
目覚まし鳴って 布団の中モゾモゾ
諦めて顔洗って 歯を磨いて
味噌汁作ろう お米は炊いてある
ネギとお豆腐の味噌汁さ ネギネギ
同じ雨の下にいるんだって
それだけで安心するんだ
今日も世界が晴れなくても
みんなお揃い 傘さしてる
僕らはひとり きっとひとりだ
なんてひどいことだろう でも仲間だね
こんなこと 一生ないんだろう
近所のばあちゃんがドン引いてるから
間違いないねベイビー
世界は変わってない 世界は変わってない
そしてそうやって君も僕と似たような
ご飯を今日も食べるだろう
パンの人 グラノーラの人
バナナ お餅 スムージー
ざっくりまとめりゃ君も僕と似たような
ご飯を今日も食べるだろう
世界は変わってない 世界は変わってない
そしてそうやって君も僕と似たような
ご飯を今日も食べるだろう
さあ味噌汁が冷める 早く食べよう
今は雨が続いてるんだけども
晴れが来ないこたぁない訳で
今日も窓が濡れる
雨、雨、雨…
雨、雨、雨…
a……